≪BL紹介と感想≫ふたりのライオン/古矢渚

BL感想

古矢渚さんの新作です。「ナンバーコール」を読んで以来すっかりファンになってこれが5冊目です。会話のテンポの良さ、主人公ふたりは勿論のこと周りの人達がいい味出してるのも古矢さん作品の特徴でもあります。今回も魅力的な友人、幼馴染が活躍していました。

あらすじ(※少々ネタばれ含みます!)

人懐っこくおおらかな順平が入学早々のキャンパスで出会ったのは無愛想な男・礼央。言葉を交わすうち、礼央が同じ高校出身で当時「裏番」と恐れられていた「鬼獅子」だと分かる。誤解から遠巻きにされていた孤独な日々から脱するべく、遠方の大学に入り友達を作ろうと努力する礼央の、初めての友人となった順平だが、やがて礼央に対して友情以上の気持ちを抱くようになり……?

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表紙の右(金髪、たれ目、笑顔、ノンケ)が順平、左の(黒髪、ツリ目、イヤホン、ノンケ)が礼央です。まぁ、順平くんのかわいい事!いい奴だしかわいいし、福耳だしかわいいし!

ストーリー紹介 ≪出会い≫ (※がっつりネタばれ含みます)

物語は 明るく誰とでもすぐ打ち解けるタイプの順平と、どこか影のある礼央の出会いから始まります。大学のベンチで水を置き忘れた人に「忘れてますよー」と声を掛ける順平、それに対し「あげる」と言って立ち去る男、それが礼央でした。

全然知らない人だけどどこかで見た事ある気もするような・・・考えるも思い出せない順平ですが、別の日に自販機の前で礼央を見かけ「こないだのお返し」と水を買い礼央に渡します。戸惑いながらも「・・・どうも」と受け取る礼央、アレ?めっちゃ嫌そう??😓

気になる順平は「どこかで会ったことない?」と尋ねるも礼央は「ないよ」と答え明らかに距離を取ります。そしてその場を立ち去る礼央は小さく舌打ちをし第一話が終わります。その後の展開がめちゃめちゃ気になる!速攻 古谷ワールドに引き込まれました!

その後、ひょんな事から礼央が同じ高校出身で当時「裏番」と恐れられていた「鬼獅子」だと分かります。噂話から付いた鬼獅子という名を呼ばれることを嫌い、大学生活は自分の事を知らない環境で真っ当な生活を始めたかった礼央、誰も受験しないと聞いて遠方の学校を選んだのに同高出身者がいるなんて!順平がどこかで見た事があったのも、礼央が順平と距離を取っていたのもこういう理由だったんですね。

そんな過去から「俺には友達がいない」と礼央が順平に話すと「それなら俺友達にしない?」と、ここから二人の友人関係が始まります。世間話をしにと声を掛ける順平、大学以外の時間外でも遊びに誘う順平、戸惑いを感じながらも少しづつ笑顔を見せる礼央に「もっと誘ってやりたいな」と思うようになります。

ある日二人で居ると街で野良猫を見かけます、猫をかわいがる順平を見て「いま・・・うちで、猫預かってるんだけど・・・家来る?」と初めて友達を家に招こうとする礼央。「行く!行く!行く!」と猫に喜ぶ順平は同時に、勇気を出して誘ってくれた礼央の気持ちを大切にしたい想いと、誘われると思ってもなかった事に嬉しい気持ちが沸き上がります。バイト先の先輩に頼み込んでシフトを変更して貰い礼央と遊ぶ日程を調整する順平。先輩は「必死だな。女か?デートだな?」と探りを入れつつも応じてくれます。そんなんじゃないですよと笑うも先輩に言われた一言が気になります「そんな必死かねえ?」と。

ストーリー ≪順平の気持ち≫

礼央の自宅で黒猫の「アコギ」にメロメロな順平、その姿をみて笑う礼央。二人の距離が縮まれば縮まるほど順平は気持ちが落ち着かず、夕飯を作ってくれる申し出には前のめりに「食いたい!」とにじり寄ります。家で礼央の手作りの親子丼を食べながら子供の頃の話をしたり、兄弟の話をしたり過ごす時間に、順平は(外へ食べに行かなくて良かった)と心の中で呟きます。

家でくつろいでいると、アコギの飼い主であり礼央の幼馴染でもある亮二と 礼央の妹レナがやって来ます。突然の来訪に驚くも、三人の仲の良いやり取りを見てまた新たな一面を知る順平。レナから礼央の作るスイーツも美味しいから、いつかガトーショコラを作って貰えばいいと教えられ、再び「食いたい!」とがっつきます。亮二からは二人が仲良くなったきっかけを聞かれ 高校が同じで大学から話すようになったと説明をします。亮二は、色々知った上で仲良くしてくれてるんだなと順平に感謝を伝え「あいつは対等に飢えてるんだ」と話します。「対等?」友達って事・・・?

ある日、順平はバイト先の先輩から先日のシフト調整をした日の事を聞かれます。あの日の楽しかった時間を思い出しながら、友達が預かっている猫に会える日がその日だけだった事を話すと期待外れの答えにガッカリな先輩。好きなんだ?と聞かれて焦る順平ですが、先輩が聞きたかったのは猫の話で。順平は「好きなんだ?」の相手を礼央と間違えてしまいます。「はい?!いや好きっていうか」え?ん?? 順平の心がゆっくりと動き始めます。

学校の帰り道、友人たちと焼肉に行く順平と出くわした礼央。誘われるまま付いて来るも順平はどこかぎこちない様子。順平は礼央の事を意識してしまいまともに話せない・・・それでも平静を装って、皆が解散した後にTVで見たかったサッカーの試合がある事を聞くと「うちで観ない?」と礼央を誘います。これぐらい普通だよな、礼央の家にも行ったんだし、と自分に言い聞かせます。

順平が部屋のごみを捨てに行っている間に、礼央は飲んでいいよと言われた冷蔵庫のジュースを飲んで待っていました。しかしそれはジュースではなく順平の兄が泊まりに来た時に忘れて行った缶チューハイだったのです。一気に酔っぱらう礼央、順平の髪を触り始め「気持ちいい」と近付きます。そして順平の耳を触り「お前、福耳だな」「俺今、大学とか楽しくて」「こいつのおかげかもな」と笑います。

思いもよらぬ礼央の態度に、あの時バイト先の先輩に答えようとした「好きっていうか」の気持ちに揺れ動く順平。一緒にいて楽しいし好きか嫌いかで言ったら好き、だけどこの好きは・・・・『たまらなくなる方のやつだ』と礼央への想いにはっきりと気付き、耳に触れる手を取りキスをしようとします・・・が、その瞬間に礼央は寝落ちしてしまい、我に返った順平は自分の行動に大きく動揺します。

酔っ払いながらも寝言のようにそっと自分の過去を話し始める礼央。自分を育ててくれた祖父が強く優しくなれと鍛えてくれた事、その祖父が亡くなり高校生になった入学式の夜、公園で絡まれているホームレスを助けた事が事実ではない悪い噂となって広まり、結果周りから「鬼獅子」と呼ばれ孤立するようになった事。校内でいつも誰かと話してる背の高い同級生を見て、自分も普通に過ごしたかった事。誰も自分の事を知らない場所で新しく大学生活を始めるも、その背の高い同級生が同じ大学にいた事、最初は何でお前がいるんだよ!と思ったけれど、お前がいたから・・・

酔っているとは言え礼央の本心を聞く事が出来て喜ぶ順平でしたが、友人として「対等」の存在を求めている礼央に対し、恋心を抱いた自分では応えられないと悩み この日を境に礼央と距離を取り始めます。

ストーリー ≪礼央の気持ち≫

順平の家で酒を飲んで酔ってしまった礼央はその日の事を覚えておらず、その日は朝まで寝てしまっていました。数日ぶりに大学で順平と会った礼央は、あの日の礼と詫びと言っていつか話していた手作りのガトーショコラを渡します。本心ではめちゃくちゃ嬉しい順平ですが、以前のようにただ喜ぶ事が出来ません。礼央から「亮二と食事をするんで一緒に」との誘いにも予定があると嘘をつく順平。自分の気持ちがどうにかならない限り今のまま居られないと、ガトーショコラをかじりながらまた悩みます。

急に態度が変わった順平に、今まで友達が居なかった礼央はどうしていいか分からず亮二にそれとなく相談します。亮二はよほど嫌われるような事をしたか、順平側に何かしらの理由があるんじゃないかと話します。嫌われるような事・・・悪酔いして絡んだか、でもそんな事で避けるような奴じゃない、と順平との思い出を振り返ります。このままは嫌だと、礼央は順平の友人に頼み順平を呼び出してもらいます。

友人からカラオケの誘いを受け、順平が夜の公園に来てみるも居たのは礼央ただ一人。面食らう順平に「自分が呼んでも理由をつけて来ないだろう」と説明をします。今の状況はなんだ、自分が何かしたか?と尋ねるも、順平は口ごもり「問題があるのは自分で、理由は聞かないで欲しい」と告げます。勿論そんな事で礼央が納得するはずもなく、本音でぶつかって来てくれるのに答えられない順平・・・

その時順平のバイト先の先輩から電話が掛かってきます。ゴメンと言って慌てて電話に出る順平の会話から相手が酔っぱらっている事を察する礼央ですが、その時に自分が酔っていた時の事をふと思い出します。髪に触れた事、耳に触れた事、そして順平がキスをしようとした事も。そしてそれと同時に、突然背後から不穏な影が礼央に襲い掛かります。

電話を終え戻ってきた順平でしたが礼央の姿がない事に気づきます。その順平も背後から襲われ気を失ってしまいます。二人を襲ったのは高校時代の礼央を恨む男でした、礼央は順平の事が気になるも手をガムテープで巻かれ一方的に殴られ蹴られ続けます。そして「お前は慣れてるだろうが、オトモダチはどうだろうな」とその男は順平にも危害を加えようとします。

気が付いた順平は礼央を助ける為に動こうとするも木に括り付けられ身動きが取れません。順平に近寄り耳に刃物を当てる男、それを見た礼央がガムテープを引きちぎり立ち上がります。「こいつ巻き込んだのは最悪手だったな」と一気に反撃モードへ!思い切り男をぶちのめします。

礼央は順平を巻き込んでしまった事を謝り「俺の大事な福耳に怪我させやがって」といたわります。さらっと「大事」というフレーズが飛び出てドキッとするも、暴力沙汰とか見せたくなかったと話す礼央、順平は「ほんとに百獣の王みたいでカッコよかった」「惚れ直した」と答えます。

はっ!と言ってしまった言葉を取り繕おうとするも、礼央は「そういう意味なんだろ」と順平を見つめます。そこから順平は正直に自分の気持ちを伝えます、友達になろうと言ったのは自分の方なのにそれに応えられなくなったのが申し訳なくて気持ちにケリをつけるまで距離を置きたかったと。

謝る順平に「なんでケリつけるの」と言った後に最高のセリフを残し物語はエンディングへ向かいます・・・!

そして病院で処置をしてもらい二人とも無事を報告し合う中、声を掛けて来る一人の男性。この物語にはまだ仕掛けが残っていました。

まとめの感想

最後、中途半端な紹介になり申し訳ない気持ちですが、これは自分が話しちゃいけないと思い(と言うかこんなにも説明していいのかと思いますが)書かずに終えました。読み終えた方とは共感したり話し合いたいし、読んでない方がいらしたら是非最後の二人を見届けて欲しいです。※おまけのストーリーも素晴らしい。タイトルも納得です☺

読後感が爽やかな気持ちになれる、BL初心者にもおすすめしたい一冊です。エロいシーンはまぁありません(笑)順平と礼央の不器用だけどピュアな、お互いを思い合う気持ちがぎゅっと詰まった素敵な作品でした!

ここまで読んで頂いた方、感謝です!!次は「ナンバーコール」も紹介したいなぁ♪

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